NTTデータミャンマーさんスカラシップ

NTTデータミャンマー

NTTデータミャンマーさんは、ミャンマーで2012年からオフショア開発を行っています。現在200名ぐらいのミャンマー人の社員さんがいて順調なように見えますが、他の日系IT企業と同様、人材確保には試行錯誤しています。その対策の1つとして、IT専門学校を立ち上げ、学校の卒業生から人材を採用する取り組みを行っています。このやり方なら、学生さんにとっても実践教育を受けられる場が増えますし、NTTさんにとっても人材採用で有利なWinWinの関係になれます。
また、人材の育成と採用だけではなく、社員は大きなプロジェクトに携われることと、日本にも行けるチャンスがあることでモチベーションをあげ、離職者を減らす工夫と努力もしています。
NTTデータさんは資金力があるからとも言えるかもしれませんが、成功している企業と言えるのではないでしょうか。

情報通信訓練センター(ICTTI)への奨学金提供

私が所属する情報通信訓練センター(ICTTI)は主に大学のコンピューター系学科卒業生が実践訓練を受けられる施設としてJICAのプロジェクトで設立されました。ここの卒業生は実践教育も受けているため、少しでも即戦力を採用したい企業にはもってこいなのですが、まだまだ卒業生が少なく、一部の企業としか人材採用での連携が取れていないというのが現状です。しかし、こちらの人材にいち早く理解を示してくださったのがNTTデータミャンマーさんです。単に求人票を送って来るだけではなく、採用するかどうかに関わらず、1ターム(半年間)で10名の学生に奨学金を提供してくださっています。年間では20名に1人当たり500000チャット(約5万円)もの額で、試験にパスした学生は学費と住居費の一部を奨学金で賄うことができます。

NTTデータミャンマー社長からの奨学金授与式

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もちろん、このような協力をしてくださっていることは学生も理解しているため、優秀な学生は自ずとNTTデータさんへの採用を希望するフローができつつあります。

NTTデータさんは自社の採用のことだけを考えるのではなく、このようなミャンマーの人材育成に協力してくださっています。私はこの様なスカラシップをNTTさんだけではなく、日立さんや富士通さんはもちろん、中小企業にも提供したいただけるよう、優秀な学生を養成し会社を辞めない仕組みづくりも提案していきたいと考えています。

ミャンマー進出IT企業

日本のIT企業はミャンマーに進出したくても、政権の不安定さや外国企業への進出の各種優遇策が中国やベトナムに比べて弱いこともあり、まだまだ躊躇しているところも多い様です。ネット環境の悪さと不動産価格(オフィス賃料)の過剰な高さも、阻害要因になっていますが。

もちろん、4年前の民主化スタート以降進出した企業もありますが、その多くの企業の悩みが、人材の確保です。

ミャンマーの最低賃金は1日350円くらいで1か月で1万円にも満たないので、日本企業からすると労働コスト的にも最高によく、ミャンマー人も真面目なので、雇用がうまくいけば、最高のオフショア開発拠点になるのですが、それが思うようにいっていない企業が多いのです。

なぜか?

別に調査も分析もしたわけではないのですが、何社かの社長や責任者に聞いたところ、IT業界では即戦力に人材がいないことと、人材を育成しても簡単にやめてしまうことにあるようです。
ミャンマーの大学でのコンピュータ系学科では、プログラミングにしてもネットワーク構築にしても、ほとんどが教科書での学習だけで、コンピュータを使った実習を行っていないようです。このため、優秀な大卒学生を雇用できても、多くは社内研修が必要になります。せっかく低賃金を目的に進出しても研修まではやれない企業がほとんどですし、研修できたとしてもそこそこのプログラミンがができて、日本語や英語ができると、人材ブローカーに狙われ、目先の高給に惹かれ辞めてしまう社員も多いそうです。

※NTTデータミャンマーさんの取り組みはこちら

このようなことから、ミャンマーのIT企業は発展途上と言えますが、安定しないこの時代に頑張っている企業には、成功してもらいたいという気持ちでいっぱいです。